家内労働65万&青色控除65万適用の決算書の書き方
家内労働者の必要経費の特例(租税特別措置法27条)と青色申告特別控除65万円(租税特別措置法25条の2)は、要件を満たしていれば、どちらの控除も受けることが出来ると、以前に書いたことがありますが、実際の青色決算書はどう書いたらいいのか悩まれている方もいるようです。
簡単な例で説明してみますね。
某音楽教室の講師の収入と経費が次のようだったとします。
平成21年分の報酬料金(講師料) 200万円
※源泉所得税20万円、手取り180万円
平成21年分の必要経費(交通費) 10万円
期首の元入金はゼロとします。
最終値である所得金額は、仕訳をするまでもなく簡単ですよね。
200万円
-65万円(家内労働者特例)
-65万円(青色特別控除)
=70万円
ただし青色申告特別控除65万円を受けるためには、腹式簿記で記帳しなければなりません。
仮に1年間、報酬を一切生活費として使わなかったとすれば、期中の仕訳は次のようになります。
(現金預金) 180万円 (売 上) 200万円
(事業主貸) 20万円
(旅費交通費) 10万円 (現金預金) 10万円
そして損益計算書と貸借対照表は次のような感じになると思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
≪損益計算書≫
売上金額 200万円
旅費交通費 10万円
青色申告特別控除
前の所得金額 190万円
青色申告特別控除額 65万円
所 得 金 額 125万円
≪貸借対照表≫
(資 産 の 部) (負 債 ・ 資 本 の 部)
現金 170万円
事業主貸 20万円 青色申告特別控除
前の所得金額 190万円
合 計 190万円 合 計 190万円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、ここで家内労働者の65万円をどうするかですよね。
実際には65万円とすでに必要経費としている10万円との差額55万円をどうするかです。
方法として3つあります。
① 「措置法27条差額」という経費科目を無理やり作って(内容が分かれば科目名は何でもOK)
(措置法27条差額)55万円 (事業主借)55万円 という仕訳をきる。
② 所得金額欄の下に
所得金額 125万円
措置法27条差額 55万円
特(←文字を丸で囲む) 70万円 と記載する。
③ 決算書の必要経費の内訳欄に旅費交通費10万円は記載せずに、必要経費の合計欄に65万円、青色申告特別控除前の所得金額欄に135万円と書いて、135万円の数字の頭に、②の方法と同じ「マル特」の文字を記載する。
③の方法は意外と思われる方がいらっしゃると思います。
「これだと、損益計算書の青色申告特別控除前の所得金額と、貸借対照表の青色申告特別控除前の所得金額が一致しなくなってしまうじゃないか」と。
でも、ちょっと待ってください。
青色申告特別控除65万円を適用するときの要件を思い出してください。
要件① 青色申告者であること(現金主義選択者除く)
要件② 不動産所得(事業的規模)又は事業所得を営んでいること
要件③ 複式簿記によって記帳していること
要件④ 腹式簿記に基づいて作成した貸借対照表を確定申告書に添付して、申告期限内に申告すること
損益計算書と貸借対照表の「青色申告特別控除前の所得金額」を一致させることは要件とはなっていませんよね!
③の方法でも大丈夫なんです。
だからと言って、いい加減な貸借対照表を作成したらダメですからね
個人的には、せっかく腹式簿記に基づいて記帳しているのですから利益を一致させた方が気分的にスッキリして①の方法が好きなのですが、みなさんはいかがなものでしょう~
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小暮会計事務所
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