平成19年分の所得税の確定申告で、「家内労働者の必要経費の特例(租税特別措置法27条)を適用するのを忘れた場合、今からその申告を直せるか?」という質問を比較的よく受けます。
この特例を適用することによって、「納付税額が減る」、あるいは「還付税額が増える」のなら、直すことができます。
直すことができると言っても納税者が自由に直せるのではなくて、法定納期限から1年以内に(そうじゃない場合もあります)、直してくれと税務署に請求する方法によります。
これを「更正の請求」と言います。
ここで用語の整理をします。
当初の申告に所得金額等の誤りがあって、正しく計算すると、税金を追加で納める必要があるような場合、納税者は自ら「修正申告書」を提出することによって、申告を直すことができます。
また税務当局は、調査等に基づいて「更正」という行政処分によって、申告を強制的に是正して、税金を追徴したり還付したりすることができます。
所得金額等に誤りがあって、正しく計算すると、納めた税金が戻ってくるというような場合、税金を追加で納める場合と違って、納税者は税金を減額する申告書を提出して自由に自分の申告を直すことが出来ません。
こういったケースには税務当局の行政処分である「更正」による方法しかありません。
「更正をしてください」という手続き、これが「更正の請求」です。
更正の請求(国税通則法第23条)は、原則として次の場合に法定納期限から1年以内にすることができます。
①国税に関する法律に従っていなかったり、計算誤りがあったために、税金を多く納めてしまったとき
②国税に関する法律に従っていなかったり、計算誤りがあったために、純損失の金額を少なく申告してしまったとき、あるいは純損失の金額を記載しなかったとき
③国税に関する法律に従っていなかったり、計算誤りがあったために、還付金の額が少なかったとき、あるいは還付金の額を記載しなかったとき
家内労働者の特例の適用失念について、更正の請求が可能かどうかは、「国税に関する法律に従っていなかった」のかを検討すればいいわけです。
家内労働者の特例の条文の超要約文は、「家内労働者に該当すれば必要経費に算入する金額は最高65万円とする。」
65万円とすると言い切ってます!
もし去年、家内労働者に該当する方が65万円未満の必要経費で申告をしたのであれば、「措置法27条という国税の規定に従っていなかった」ことになります。
なおかつ、この特例を適用することで税金が戻るのであれば、更正の請求ができることになります。
請求期限は、平成19年分の確定申告の法定納期限(平成20年3月17日)から1年ですので、今年の3月17日(火)まで。
期限後に還付申告をしている方なら、申告日から1年。(去年の7月10日に申告していれば今年の7月10日が期限)
まとめて数年分を還付申告した人は、平成19年分だけではなくて、それ以前の年分の申告についても更正の請求は可能ですので、念のため。
余談ですが、租税特別措置法は特例条文なので、ほとんどの場合、条文中に「確定申告書に控除を受ける金額を記載し、かつ、明細書等の添付がある場合に限り、適用する。」等の項が加えられています。
特例を受けるかどうかは納税者の任意としているため、「特例を受けたければ確定申告書を提出するときに適用してね。その時に適用してないとダメだよ!」という、いわゆる「申告要件」となっているのです
皆さんよく御存じの「住宅借入金等特別控除」も「申告要件」となっています。
つまり、この申告要件があると更正の請求はできない。(家内労働者の特例は申告要件とはなっていないので、更正の請求ができる)
特例を受けたい人が選択して受けるものなので、適用失念は納税者が選択をしなかったと見做され、「国税の規定に従っていなかった」ことには該当しなくなるのです。
最後の手段として「嘆願書」を出して税務署長の判断に委ねるしかありません。
あくまで独り言ですが、住宅借入金等特別控除適用の失念についての嘆願は、通常は認められるんじゃないかなあ~
ちなみに租税特別措置法以外にも、申告要件となっているものがあります。
「事業専従者控除(所得税法57条)」や、あまり見かけない控除ですが「外国税額控除(所得税法95条)」などがそうです。
「確定申告書に~記載がない場合には、適用しない。」とか「確定申告書に~添付がある場合に限り、適用する。」という件があります。
興味があれば見てみてください。
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